こんなの、知りたくなかった。
もう、和正と会わなければよかった。


……和正といた時間って、なんだったんだろう。
私が和正のためにしてきたことってなんだったんだろう。
嫌われたくなくて我慢していた意味ってなんだったんだろう。


なんで、騙されてたんだろう。
こんなに騙されて、バカすぎる……。






「美鈴、最後の記念に抱かせろよ。月城組がおまえのこと迎えに来る前に、1回だけでいいから」


突然、手をかけられてはずされた制服のリボン。


……この男は、どれだけ私をバカにすれば気が済むのか。




「足開け……って、これじゃ開けねぇか。まぁいいか、はずしても。どうせおまえに逃げ場なんてないし」


和正はひとりごとのように言うと、私の足を縛る縄を解いていく。


少しずつ緩んでいく縄。
足の縄を解くと、手を拘束する縄も解かれた。


そして。


自由になった私は、思いっきり和正を蹴った。







「だれがあんたなんかとするか!バカにしないで……っ!」


溢れた涙を手で拭って起き上がり、全速力で走る──が。



「なにしてんだクソアマ!!」


黒服を着た男性にすぐに髪を乱暴につかまれ、また地面に投げ飛ばされてしまった。