「美鈴、おまえのおかげで一条組はこれから潰せるし、おまえを月城組に引き渡して俺は下っぱから昇格できるし……本当におまえには感謝してるよ。
一条組にいるって知った時はびっくりしたけど、ありがとな」
にこりと笑った彼。
“一条組”、確かに聞こえてきた言葉。
その言葉で……確信に変わる。
“月城組”がヤクザなんだと。
そして、月城組はきっと一条組と敵対する組。
……和正が、ヤクザの下っぱだったなんて。
刺青もないし、そういう雰囲気もなかったし、ぜんぜんわからなかった……。
……私は、昔から知らぬ間にヤクザの下っぱと付き合っていたってことなのか。
「……い、今まで、騙してたってこと?」
小さくつぶやくように聞くと、悪びれる様子もなく「あぁ」とかえってくる返事。
「え?じゃ、じゃあ……浮気相手は?入社してきたって……」
「あぁ、あれ?あれも嘘。あの女はただのセフレ。ちなみに、セフレはあの女1人じゃないから」
「……え」
「言っとくけどおまえもセフレだからな?」
衝撃的な言葉の連続。
まるで、夢の中にいるんじゃないかと思うくらい。



