月夜に笑った悪魔






「これで俺も昇格かぁ。昇格したら、まずいいマンションに引っ越して、新しい家政婦でも見つけないとなぁ」


ぼうっとした頭に聞こえてきたのは、聞き覚えのある男性の声と、大きな笑い声。


その声はしだいにはっきり聞こえてくるようになって、私はゆっくり目を開けた。




ぼやける視界。
目を擦ろうとすれば……体が動かなかった。


両手、両足が動かせない。
……まるで、なにかに縛られているみたいに。


嫌な予感がして、手足を見れば……縄で拘束されていた。
しかも、私は地面に寝ている状態。



……な、なんだこの状況!?
ここはどこ!?
なにがあったんだっけ!?



私が今いるのは、寂れた倉庫のようなところ。
建物が老朽化しているのか、天井は少し崩れ落ちていて、そこから月の光が差し込んでる。


次に視界に入ったのは、人影。
電気などついていないから薄暗く、あまりよく見えないけど、目を凝らして見ていたら……。



見えた、3人の男性。

和正と、黒服姿の男性2人。
その3人を見て、私は……何があったのか思い出した。