選手たちの熱気が嘘のように静まってるコート。



靴を脱いで芝の心地良さを感じながら
コート内を歩く。



カツ



「千夏ちゃん。」



呼ばれた方をむく。



「霧島さん。」



「えーと、さっきは、とりみだしてごめん。」



恥ずかしい思い出を思い出したかのように
謝る霧島さん。



その顔に笑いが上がってくる。



「ふふ、構いませんよ。」



「〜〜、笑うなよ」



「ふふ、」



「ふぅ、千夏ちゃんの前だと、
どうしてもかっこつかないな。」



「そーなんですか?
残念。かっこいい霧島さんも見たいのに」



笑うと霧島も苦笑する。



「ボトル、1本で足りました?」



「2本だって。」



「それはまた、まぁ、妥協点ですね」



「まぁね。
行きつけの整形外科に
ファイルで頭叩かれたよ。」



「自業自得です。」



「それも言われた。」



「!私、そこの病院の先生と
気がとても合う気がします!」



「絶対に合わせない。」



「えー!」



お互いの目線が揃う。



ぷ、はははは!



どちらかともなく笑い始めると
コート内に笑い声が響く。