『チナツ、私ちょっと教授に....』



『あー、この間やらかしたもんね』



『う"〜』



お昼。
午前の講義が全部終わると
ナーベラが気まずそうに言ってくる。



そーですね、やばいことしましたもんね。



『わかった、いつもの席にいるね』



『うん!いい事、チナツ!

知らない男に同席をせがまれても
友人が来るからって断るのよ!』



『はいはい、今日3回目。』



『絶対よ!!
他の人と食事なんてしてたら泣くからね!』



『はいはい、行っておいで』



いってくる!!と元気に講堂を飛び出す。



あれでもこの学校の首席だよ。
びっくりだよ。



ナーベラを見送ってからイヤホンを付ける。



日本人が珍しいのか
知り合いでも無い人が話しかけてくるから
一人で行動する時はイヤホンが必需品だ。



片方の肩にリュックを背負い
唯一校内にある桜の木の下のベンチを目指す。



ナーベラと初めて会ったのもここだ。



グループには入ったけど
その中でもいい感じの友人が出来なかった私が
一人で食事していたら話しかけてきたのが
ナーベラだ。



【『驚くほど桜が似合うのね。』】



ただ自分が作った弁当を食べていたら
そう言われた。



初めは嫌味か、と思ったけど
むっちゃ目が輝いていた。



今では日本が大好きで
桜があるからこの大学に決めたことも
知っている。



大丈夫かよ。