数ヶ月後



すっかり変わってしまった日常に
違和感を感じなくなったのは、
いつからだろうか。



ボールを蹴った後
ピッチの上の椅子を見も誰もいないことや



常に横にいた笑顔がない事や



楽しそうに小言を言ってくる
あの声が聞こえないことや



俺の名前を、
彼女が呼ばない事に、



慣れてきた日常。



今日も、



ボールを蹴って
いつもの定位置だった場所を見ても
誰もいない。



『レオ!』



彼女と同じ様に名前を呼ぶ人は増えた。



でも、



何度振り返ったって、



このピッチの上に
彼女がいることはなかった。