英音「…ごめん、帰れって言ったんだけど。」



彼の近くには、日向くんと三咲さんと柚夏さんが居る。



『いえ、僕は平気ですよ。』



どうせなんて言っても帰らないだろ。



心の中で軽く毒づきながらそう答えれば、三人は嬉しそうに笑いながら話す。



『…あ、』



倒れている花瓶を見つけ、静かに立てる。



夏生「残念だったね、黒瀬さん。」



その一言に、体が硬直するのを感じる。



柚夏「…本当にね…」



三咲「桜ちゃん、好きだったのになぁ…。」



彼らが静かに告げるその言葉は、今僕の我慢を限界へと近づけさせる。



…何気安くあの子の名前を呼んでんの…?



英音「…桜さん、どうしたんだろうね。」



あはは、



『どうしたか、本当に分かりませんか?』



思わずその言葉が出てしまう。



英音「…千雨さん?」



許せない、



許せない許せない許せない許せない許せない許せないユルセナイ



『お前らのせいで…桜は死んだんだろうが。』



そう睨みつける。



それでも彼らは何のことだと言いたげな顔をしている。



『お前らが居なければ…桜が死ぬことなんてなかったのにっ…』



それだけ言って、教室から出る。



島野くんの声が聞こえてくるが、そんなのは無視して…とある場所に向かう。



何も言わないまま歩いた僕は…



『…桜。』



屋上へと辿り着いた。