「三咲も柚夏も何を騒いでるの?」
そう声をかけてくるのは、えーと…確か日向柚夏の双子の兄、日向夏生(ひなたかい)。
その隣には、四人組の残りの一人である島野英音(しまのえいと)もいる。
『おはようございます、日向くん、島野くん。』
そう笑い掛ければ、島野くんが笑い返しながら答えてくる。
英音「おはよう千雨さん。」
彼ら四人組はこのクラスでは有名であり、人気。
明るく元気のある三咲さんは、クラスでのムードメーカーであり、吹奏楽部でトランペットをしているとか。
お淑やかで可愛らしい柚夏さんは、クラスで癒しと言われ大事にされる、サッカー部のマネージャー。
控えめながらに元気のある日向くんは、優しくみんな平等に関わる、サッカー部のレギュラー。
クールで静かめな島野くんは、普段そんなに進んで話さないがその容姿からモテる、日向くんと同じくサッカー部のレギュラー。
そんな彼らに何かと声をかけられる僕は、きっとクラスメイトからすれば羨ましい存在なのではないか。
でも正直に言ってしまえば、僕はこいつらが嫌いだから出来るものなら誰かに代わって欲しい。
こいつらに限っては、人間だから嫌いってだけの問題ではない。
…こいつらは、
英音「あ、千雨さん…今日の放課後日直一緒だね、よろしく。」
『はい、よろしくお願いします。』
にこ、と笑い掛ければ、その持ち前の整った顔で微笑んでくれる。
普段は笑わない彼が笑えば、クラスメイト達はきゃーきゃーと騒ぎ立てる。
あはは、彼の何処が良いのか僕にはわからないなぁ?
ただただ…気持ちが悪い、此方を向くなと言いたくなる。
不愉快極まりない、こんな奴と日直なんて…隣の席なんて、憂鬱としか言いようがない。
英音「楽しみだな、千雨さんとの日直。」
『ありがとうございます。』
いつも通りにこにこと笑顔を作る。
何で僕は彼に気に入られているのだろうか。
そんなん知らないね、興味もない…大嫌いなだけなんだから。


