「ねえ、なっちゃん。夕飯のことなんだけどさ」


その言葉で、津田は今日も当たり前のように夕飯を作りに来る気なのだとわかった。


「……今日もなの?」


一応無駄だと知りつつも、夏歩はややうんざりした表情で聞いてみる。
津田は返事の代わりにヘラっと笑った。


「それで夕飯なんだけど、スープスパゲティにしようかと思ってるんだ。今日のスープがトマトスープなんだけど、味見した時にスパゲティに合いそうだなって思ってさ。どうかな?」


サラダを口に運んでいた夏歩は、津田の言葉に視線をスープカップへと動かす。

どうかな?と質問してくるのは、飲んでみろと言うことなのだろうかとスープカップを引き寄せる。

飲んだところで、スパゲティに合うか合わないかが自分にわかるとも思えなかったけれど、夏歩はスプーンで真っ赤なトマトスープをかき混ぜる。

時々形の崩れたトマトの塊が出てくるくらいで、他の具は入っていない。
夏歩がスプーンで掬って息を吹きかけ口に入れたタイミングで、津田が言った。


「缶詰のホールトマトとコンソメで作ったんだ。朝だから控えたんだけど、夕飯の時はこれに少しニンニク入れたいんだよね。絶対美味しいと思う」