洗い物を済ませて近寄ってきた津田が、箱の中を覗き込んで「おおー、シュークリームだ」と嬉しそうな声を上げる。


「どうしたの?」

「美織に貰った。一つは津田くんにって」

「さすが美織、気が利いてる。今度何かお返ししないと」


言いながら一旦キッチンに戻った津田は、シンクの上にある作り付けの収納からマグカップを二つ取り出す。


「そうだ、なっちゃん。お風呂に入る時、脱いだものはちゃんとカゴに入れてくれた?今日、お風呂沸かそうと思って脱衣所に入ったら、Tシャツがカゴの裏に落ちてたよ」

「……入れたよ」


たぶん、と夏歩は心の中で付け足す。
入れたつもりではあるけれど、ちゃんと全部入ったかどうかは定かではない。


「あと、洗濯機開けたら洗い終わったやつが入れっぱなしでビックリしたんだけど、あれはいつ洗ったやつなの?洗濯するならちゃんと干すところまでやらないと、入れっぱなしってよくないんだよ」

「いつって、それは……」


あれ、いつだっけ……?と夏歩が思わず考えてしまったのを表情から察してか、津田の顔が完全に恐ろしいものを見た時のものに変わる。