「自分で作ったロールキャベツのお味はどう？」


夏歩が自分で作ったと言うには、あまりに津田の手を借りすぎた気がするので何とも返事がしづらいけれど、味の方に文句はない。


「うん、美味しいね。なっちゃんの作ったロールキャベツ」


まるで自分の問いに自分で答えたような形になっているけれど、津田は別段気にした様子もなく、夏歩より上手にロールキャベツを切り分けて口に運ぶ。


「なっちゃんの初の手料理だって思うと、凄く感慨深いよ」


夏歩としては、自分が作ったと言うより津田の作業を手伝ったという感覚の方が近いのだが、津田に言わせればこれは“夏歩の手料理”になるらしい。

物凄く嬉しそうに、美味しそうにロールキャベツを頬張る津田を見ていると、夏歩としても悪い気はしない。たとえ手伝っただけだとしても。

頬が緩みそうになっているのがバレないように、夏歩は切り分けたロールキャベツをもぐもぐと噛みしめる。


「なっちゃんが手料理振舞ってあげた男なんて、俺が初めてだよね。そう思うと、嬉しさ倍増」


そう言って、津田は上機嫌にヘラっと笑った。