ちなみにその机は夏歩が使っている机で、上には荷物を入れ終えた鞄が乗っている。
帰り支度は済んでいるので、あとは帰るのみ。その段階で、教室に入ってきた津田に、丁度良かったとばかりに告白された。

ベタ過ぎる点を除けば、シチュエーション的には悪くないのかもしれないが、言い方がなんとも軽い。
今日、帰りにクレープ食べて行かない?くらいの軽さだ。


「なんでって、はい以外に一体どんな返事があるって言うの?」

「いや、他にもあるでしょ!“はい”があるなら“いいえ”だってあるでしょ!」


心底不思議そうに首を傾げる津田に、夏歩は強めに言い放つ。

なぜこの男はこんなにも不思議そうな顔をしているのか、なぜ答えは“はい”一択だと思っているのか、夏歩の方が心底不思議に思う。


「“いいえ”はないよ。だってなっちゃんは、俺のことが好きでしょ」

「……は?」


さも当たり前のように、津田は言う。


「なっちゃんは、俺のことが好きだよ。だからいいえはあり得ない」

「いや、ちょっと待て」