素直になれない夏の終わり


そんな風には全く見えなかった。


「まあ、なっちゃんのわかりやすいリアクションに比べたら、俺のはわかりにくかったかもしれないけど」

「……バカにしてる?」

「可愛かったって言ってるんだよ」


それはバカにしているのとは違うのか?と思ったけれど、面倒くさいので突っ込んで聞かなかった。

聞くのが面倒くさいと言うよりも、それに対する津田の答えを聞くのが面倒くさい。


「夕飯どうしようか。なっちゃん、お腹空いてないよね?空く予定はある?」

「空いてないし、予定も今のところない。だって、ついさっきピザとスパゲティ食べたばっかりだし」

「なっちゃんはティラミスも食べてたしね。あとココア」


エスプレッソが染み込んだスポンジと、マスカルポーネチーズを合わせたふわふわクリームが層になっているティラミスは、甘味と苦味がお互いを引き立て合って上手く調和していて美味しかった。