素直になれない夏の終わり


しばらく間を空けて、夏歩は「却下」ときっぱり言い放った。


「なんで!?」

「なんでって……なんとなく?誰を褒めるかなんて私の自由だし、呼び方に至ってはずっとそれで通してきたんだから今更変えられない」


津田より先に祐也と出会っていたなら、呼び方に関しては津田の願いが叶っていたかもしれないけれど、先に津田と出会い、ずっと津田くん呼びで通していたところに同じ苗字の人が現れたなら、必然的にあとから知り合った方は下の名前で呼ぶことになる。

それが気に入らないと言われても、高校生の頃からずっと同じ呼び名だったのを、今すぐ変えろと言われても困ってしまう。


「じゃあちょっとずつ、ちょっとずつ変えていこうよ!いつまでも苗字で呼ぶのは、将来的に困ると思うから、今から少しずつ慣らしていく方向で」

「困るような将来なんて私達にはないから」

「いや、ある」

「どこから出てくるのよその自信!!」

「だって、なっちゃんは――」