「ダメだ、決まんない。美織、オススメは?」
そうねえ……とメニューを覗き込んだ美織は
「個人的には、ここのミートソーススパゲティは凄く美味しいからオススメ。あともう一つ選ぶとしたら、マルゲリータかしらね。ピザ生地も手作りだから、ピザはどれも美味しいんだけど、あたしはマルゲリータが一番好き」
オススメが二つ、しかも二つ共が夏歩の気になっていたものとくれば、それを頼むしかないような気がしてくる。
今度は窺うように津田を見ると、「なっちゃんが好きなの選んでいいよ」と笑顔が返ってきた。
それでようやく、夏歩も心を決めた。
「ミートソーススパゲティとマルゲリータを一つずつ。あと、食後にティラミスとココアください」
「それからエスプレッソも」
夏歩の注文と、津田が最後に付け足した注文を、エプロンのポケットから取り出した伝票にサラサラと書き付けた美織は、「少々お待ちください」と最後に店員の顔を見せてから去っていく。



