素直になれない夏の終わり


なんだか放置している間にとんでもなくヒートアップしていた。
どうしたものかと夏歩が美織を窺うと、美織は「全く……」と零して深々とため息をついている。


「ちょっと祐也、いい加減にしなさい。ムカつくのはわかるけど、今の津田は一応お客なんだから。続きはプライベートでやる」

「はーん、怒られてやんの」

「っ!!こんの……!」


美織の仲裁が入ったことで、ようやく二人の激しいじゃれあいが収まる。

勝ち誇ったように笑う津田を、祐也は射殺しそうなほど鋭く睨みつけているが、美織に注意された手前、それ以上噛み付くこともできずに大変悔しそうだ。


「園田先輩、おれ先に戻ってもいいですか」

「いいわよ。て言うか、ここの責任者は祐也なんだから、いちいちあたしに許可取らない。もう生徒会役員じゃないのよ、あたし達」

「……そうですね、気をつけます」


ごゆっくり、と夏歩にだけぺこりと頭を下げて、津田には睨みを利かせ、祐也は店の奥へと姿を消した。