ああこれは嬉しいやつだな、とわかったから、夏歩はそれ以上何も言わずにただ笑っておいた。
「……なにニヤニヤしてるのよ」
「別にしてないよ」
ふふっと思わず声が漏れたら、美織の眼差しが険しくなったので、夏歩は慌てて顔ごと逸らした。
「ところで夏歩は、今日は津田とデートってことでいいのよね?」
聞き捨てならないその台詞に「はい!?」と逸らした顔を戻すと、今度は美織が笑みを浮かべていた。
「だって、可愛いワンピース着てるし。出不精の夏歩が休みの日にオシャレしてお出かけなんて、もうこれはデートでしょ。一緒にいる相手は男なわけだし。まあ、津田だけど」
「ち、違っ!この格好はたまたまで、別に嬉々として出かけたわけじゃなくて無理やり引っ張り出されたの!それに、相手が津田くんだって時点でたとえ性別上は男でも、それはデートじゃない!!」
「必死に否定すると、逆に怪しいわよね」



