対して津田は幼馴染みと言う大変気安い関係にあるためか、年は一つ上でも態度は年上に対するそれではない。
夏歩はといえば、美織や津田から話を聞いて知ってはいたので(それは祐也の方も同じだったようで)、廊下ですれ違えば挨拶はするが、逆に言えばその程度の関わりしかなかった。
でもそれも、夏歩が高校を卒業するまでの話なので、高校生でなくなってから顔を合わせるのはこれが初めてになる。
「そう言えば祐也、俺が来たって聞いて嫌そうな顔したってね。お客さんに対してその態度はどうなの?俺にだけ言葉遣いも荒いし」
「お前のことをお客だと思ってないからじゃないか?」
「へー、そんなこと言っていいんだ。せっかく、なっちゃんと言う新規のお客さんを連れてきてあげたのに」
「お前が北井さんと来たかっただけだろ。恩着せがましい言い方するな」
一触即発、というほど険悪でもないけれど、二人の間に飛び散る火花が見えるようなやり取りだった。
「……いいの?止めなくて」



