素直になれない夏の終わり


ひとまず美織の説明が終わって夏歩が納得したところを見計らって、津田が会話に混ざりに来る。


「失礼ね。これでもピークの時には猫の手だって借りたくなるんだから」

「それに、バイトは高校生じゃない。あれで一応二十歳だ。本人の前では間違っても言うなよ。童顔なの気にしてるんだから」


突然会話に加わった津田ではない男の声に、夏歩は驚いて声のした方を見やる。

ここでも驚いているのは夏歩だけで、振り返った美織は「あら、意外に早い登場ね」といたって普通に声をかけているし、津田は美織とは反対に「おそーい」と文句を垂れている。


「……あっ、え?……もしかして、祐也……くん?」


ああ、はい、お久しぶりです北井さん。と答えたのは、高校で一個下の後輩だった津田 祐也(つだ ゆうや)だった。


「てっきり来ないのかと思ったけど。随分嫌そうな顔してたし」

「そりゃあ、来なくていいなら来たくなかったですよ。でも、来ないと園田先輩怒るでしょ。どうせ来なくちゃいけないなら、早く済ませた方が気が楽なので」


そう言う祐也は、高校時代美織と同じ生徒会役員だったので、その頃から美織には頭が上がらない。