素直になれない夏の終わり


会話を邪魔しないよう控えめな音量で洋楽が流れていて、それがまた店内の落ち着いた雰囲気によく合っている。

外装の奇抜さから、内装もきっと同じような色味で派手に仕上がっていると思いきや、それは全くの予想外だった。

入口を塞ぐように立ち止まっていた為、後ろで津田がつっかえているのだが、それも忘れて夏歩はまじまじと店内を眺める。


「あっ、俺達だけなんだ。ラッキーだったね、なっちゃん。貸し切りだよ」


そう言ってひょこっと後ろから顔を覗かせた津田に、夏歩はようやく自分が入口を塞いでいることに気が付いた。

脇に避けると、するりと入ってきた津田がドアを閉める。

もう一度チリリンと鈴が鳴ると、奥の方からパタパタと足音が聞こえて、次いで「いらっしゃいませ」と声がした。

鈴の音を聞いて駆けてきた店員の姿を見て、夏歩は驚きに目を見張る。


「えっ……あっ、美織……なん、で……?」

「あら夏歩、いらっしゃい」