「津田くんのせいで、毎回私が美織に怒られて……」

「ああ、怒られてたね。でも最後は結局、俺も仲間に入れてくれるんだよね」

「帰れって言っても津田くんが帰らないからでしょ!」


そうだっけ?なんてまたすっとぼける津田を、夏歩は鋭く睨みつける。
どうせ津田には効果がないとわかってはいるけれど、睨まずにはいられない。


「……て言うか、さっきから気になってたけど、なんか近い」


ん?と首を傾げる津田は、夏歩が「距離」と言ってもまだ首を傾げたままだった。


「絶対近い!さっきより近い!もっと離れて歩いてよ」

「気のせいじゃない?最初からずっとこの距離感だよ」

「嘘つくな!!」


最初の方は確実に、もう少し離れていたはずだ。それなのに今は、と言うか気づいたら、ふとした拍子に肩が触れ合う程の距離感になっている。


「あれじゃない?今日は人が多いから、すれ違う人達とぶつからないように気をつけてたら、自然となっちゃんとの距離が近くなっちゃったーみたいな」


ヘラっと笑った顔が大変わざとらしい。