してやられたと思えば、なおさら後悔の念に苛まれた。

そうやって夏歩が恨みがましくワンピースに視線を落としていると、隣から「懐かしいね」と津田の声が聞こえた。

何のことかと顔を上げれば、津田の視線は今まさに通り過ぎようとしているファストフード店のガラス窓の向こう、窓際の席での楽しそうな女子会に向けられていた。

学校指定のジャージを来ているのは部活か何かの帰りなのか、よく見ると会のメンバーには男子も一人混じっている。

女子三人に男子が一人という構図だが、一人ぼっちの男子は特に気まずそうな様子もなく、むしろ誰より楽しそうですらある。


「俺達も高校の時はよく、美織と三人で放課後にご飯食べに行ったりしたよね」


楽しそうなそのグループから視線を外し、夏歩は隣の津田を不満げに見る。


「それってさ、三人で行ったんじゃなくて、美織と二人で行くはずだったところに毎回津田くんが勝手についてきたんでしょ」


あれ、そうだっけ?なんて津田はわざとらしくすっとぼけるけれど、間違いなくそうだった。

なにせ毎度津田がついてくる度美織に「余計なもの連れてこないでって言ってるでしょ、夏歩」と夏歩が責められていたのだから、嫌でも記憶に残っている。