なぜ津田との外出で新しい服をおろさなければならないのかと夏歩は不満げな視線を送るが、津田はそんなものスルーで「はい、行くよー」とハンガーから外したワンピースを放る。

そんなこと言われたってまるで準備の出来ていなかった夏歩は、飛んできたワンピースを顔面で受け止めた。


「ちょっ、ひとのものを投げるな!」

「あー、ごめん。痛かった?」

「そういうことじゃない!!」


ハンガーを中に戻し、クローゼットを閉めた津田は、未だカップラーメンの前にしゃがみ込んでいる夏歩のもとへ歩いてくる。


「どこで着替える。ここ?それとも向こう?俺はどこにいたらいい」


津田は“ここ”と自分の真下を指差し、次いで“向こう”といつも夏歩が支度に使う洗面所の方を指差す。

しばらく不機嫌面で津田を睨みつけていた夏歩は、全く動じない津田にやがては諦め、渋々とワンピースを手に立ち上がった。


「津田くんは向こう行ってて!着替え中に入ってきたら許さないからね」


りょうかーい、と笑いながら、夏歩に睨みつけられながら、津田は部屋を出てドアを閉める。