「なに、カップ麺食べるの?」

「だってお湯入れたらすぐ出来るし」


ひとまずヤカンに水を入れて火にかけ、夏歩は再び三つのカップラーメンに向き直る。
はっきり言ってどれも気分ではないのだが、今はこれしかない以上この中から選ぶしかない。


「……なんでそんな変わり種しかないの。もっと普通のは?味噌とか醤油とかさ」

「文句言うならあげないからね」

「それに、せっかくなっちゃんとのランチなのにカップ麺ってなんか味気ないって言うか……あっ」

「そんなに言うなら津田くんは別のものを――」


言っている途中でカチッと音が聞こえ、夏歩は言葉を途切れさせて顔を上げる。
なぜだか津田がコンロの火を止めていて、ついでに元栓まで閉めていた。


「なんで消した」

「まあまあ、そんな怖い顔しないで。なっちゃんに、素敵な提案があるんだよ」


そう言って、津田はヘラっと上機嫌に笑う。