「ねえ、なっちゃん。お腹空かない?」

「……ん?」

「もうお昼もいいとこのそろそろおやつの時間だしさ、いい加減お腹空いたでしょ?」

「……んー…………」

「……お願いだから聞いて、なっちゃん」


切実な津田の言葉に「うん、聞いてる……」と返しながら、夏歩は読んでいた雑誌をパラッと捲る。

合間にテーブルの上のマグカップを持ち上げて、津田の作ったココアを飲みながら、視線は片時も誌面から離さない。


「じゃあ俺がさっきなんて言ったかちょっと言ってみてよ」

「……ん?……んー…………うん、聞いてる……」

「……やっぱり聞いてない」


悲しげな津田の呟きを聞き流しながら、夏歩はまたパラッとページを捲る。

その瞬間、向かい側から伸びてきた手にがしっと雑誌の上部を掴まれて、阻止する間もなくそのまま抜き取られた。