夏歩の手が離れたタイミングで、今度は津田が
「これは俺が好きでやってるんだから、なっちゃんはちゃんとするとかしないとか考えなくていいの。美味しい、って言ってちょっとニッコリしてくれたらそれでいい。あっ待って、付き合ってくれたらもっといい」
「うっさい!付き合わないって言ってるでしょ。だからこれは受け取ってくれなきゃ困るの」
「いらないってば」
「いいから受け取れ!」
テーブルの上を、夏歩から津田へ、かと思ったら津田から夏歩へ、何度も何度もお札が行ったり来たりする。
「もう、なっちゃんってばしつこい!」
「それはこっちの台詞!!」
「いいの?こんなことしてたら、ココアが冷めるよ」
「そう思うならさっさと受け取ってくれたらいいでしょ!」
それは嫌だ、とお札が押し返され、夏歩は不満全開で津田を睨む。