と、ここで俺は夏休みの予定を切り出した。

「あ、そうだ。夏休み中さ、全然遊べてないじゃん。どこか行く?」

沙和が珍しく目を見開く。

「うん。」

沙和はそう言いながら、大きく首を縦に振った。
なんか嬉しそうだ。

「沙和、いつ空いてる?」
「私は夏期講習とお盆以外そんなに予定ないから大丈夫。」
「じゃあ20日の土曜日とかどう?」
「20日?うん、大丈夫。」

俺の予定通りに20日で決まって、つい「やった。」と心の声が出た。

めっちゃ嬉しい。

初めてだ。

映画とかいいな、デートっぽくて。

俺が喜びを噛み締めていると、沙和が「平良さ、」と切り出した。

「うん。」
「ちなみに24日はどう?」

24は確か何か予定があった気がする。
そもそも平日は部活だ。
休みにくい。

一応俺はスマホで予定を調べた。

24日は予想通り、練習試合の予定が入っていた。

「練習試合だー、ごめん。」

俺が軽く言うと、沙和は思いのほかショックを受けたような表情をした。

「沙和?」

俺が声を掛けると、沙和はすぐにいつもの笑顔になった。

「ああ、うん。」

大丈夫、とでも言うような笑顔だ。
気のせいだったようだ。

早く、早く20日になってほしい。

それまでは部活と宿題、頑張ろう。