「わ、あっという間に食べちゃった」 そう言って顔を上げると、 彼が肘をついてこちらを見つめている。 『セロトニン。』 「セロトニン? あの幸せを感じるときに分泌される、アレ?」 彼の言葉の真意を汲み取れずに聞き返す。 私をまっすぐ見つめたまま彼は続ける。 『似た成分がチョコレートにも入ってるんだって。 だから不幸せな人は、チョコレートがとても美味しく感じる』 その表情に、言葉に 全て見透かされている気がした。