『もしかして、お店に来てくれたんですか?』

「はい…イタリアンオムレツが食べたくて」


『わはっ。嬉しいなぁ!

あの、もしよければ作り方、教えましょうか?』

そう言って再びにこっと笑う。


「あたし、料理できないので遠慮しておきます。

…せっかくなのにすみません」


『いやいやいやいや!!

俺の方こそほんっと余計な事ばっかり言ってすみません!

…ほら、前も変なこと言っちゃったし!』

(まく)し立てるような焦り口調で彼は言った。


ふ。

彼も百面相だ。

もしも理央と付き合ったりなんかしたら、百面相カップルになったりして。

うん、可愛いかも。

そんなことを妄想しながら彼を眺めた。