息が詰まる感覚を覚えながら思考を巡らせた。


考えるな…!感じろ…!

自分自身に必死で言い聞かせるが、
もはや休日の自分を思い浮かべる余裕なんてない。

その時、ふとホームの看板が目に入る。

”うづき坂駅前にNEW OPEN!”の文字と共に
パン屋の広告が目に入った。


「…パン屋巡りしたり…ですかねぇ…あは…」

なんとかその答えと愛想笑いを絞り出すと、
手に全神経を集中させてスマホを本気で探す。

『そうか…、俺もパンは好きだ』


…もうこれなんていう地獄ですか?

会話続けられないなら振ってこないで下さいませんか大魔王様…。

あだ名が少し変わったような気もしたが、
その瞬間は有松さんがれっきとした大魔王様に見えた。