「…ここではやめて」 振り払われたその手を握り締めると、彼は切なげに笑った。 『昭香さん… 僕のこと、いらなくなりました?』 その笑顔に胸が切り刻まれるように痛む。 やめて、そんな顔しないで。 私がそう言って彼を抱き締めれば、きっと彼の心は救われるのかもしれない。 けれどそんなことをすれば、もっと彼を傷つけることになる。 「今日、家に行くから…その時に話そ…」 『…わかりました』 私は俯いた彼の顔から目を逸らすと、横をすり抜けるように部屋を出た。