『いいから言え』 『……さつき台です…』 私の腕を掴む手にぎゅっと力が入る。 『同じ方向だ』 そう言うと有松さんは再び歩き始めた。 『そう、駅まで一緒に行ってもらったらどう? 私たちも安心よね?優香ちゃん』 花緒さんがふわっと笑う。 隣を見ると、理央がフリーズしている。 『ごめん理央』 小声で彼女を小突いたが、反応はない。 心なしか、いつかのプロボクサーのごとく 灰になりかけているように見えた。