「帰るぞ今宵」 手を握る力からも、苛立ちを感じる。 「え、一万円って……今宵ちゃんそんなに要らな」 K高生の声にかぶるように駆くんが呆れっぽく返した。 「ルイちゃんとまろやんの分も入ってんだよ、考えろ」 「いや、それでもちょっと多いんだけど」 「……はぁ。なんでも奢ってやればいいだろ。なんでこんなクソみたいなやつに邪魔されなきゃなんねーんだよ」 ぶつぶつと文句を言う駆くんに手を引かれて、雑居ビルを出た。