聞こえないように深呼吸して、あたしは聞いた。 「最近、女子とあんまり絡んでないね」 「あぁ、そーだな」 「なにかあったの?」 「別になんもねーよ」 そう言われてしまったら踏み込めない。 ぜったいに何かあったに決まっているのに。 結局家まで送ってくれた駆くんは、ドアの前で頬に一回だけキスを落として、手を振って帰っていった。 いままではドアに押し付けられて唇を求められてたのに。 こんなにあっさりだ。 ……なんで?