「もう怖くないよ」
あたしをまっすぐ見て言った駆くん。
また力が抜けそうになるよ……。
「駆すげぇー!」
「さすが駆くん……! 救世主!!」
「ありがとう駆くん! すごいわね! 助かったわあ!」
クラス中から賞讃を受けた駆くんは「お礼に今日の補習は終わりにしてよ」とあっけらかんと笑っていて。
「それはだめです」と先生に返されてしまったからか、文句っぽく席に着いた。
「駆くん、すごかった……。ありがとう」
……やっぱり男子だ。
駆くんは、世界一かっこいい男の子。
「……涙目じゃん」
にやり、その目が細まって、親指があたしの目元を拭う。
そのまま頬を手で覆いながら、至近距離で言うんだ。
「惚れなおしちゃった?」
いたずらっぽい声。
そんなのあたりまえ。
「……うん」
「ちょろいなぁ」
ふざけて笑う駆くん。
……好き。
どうしてこんな人があたしなんかと付き合ってくれているんだろうって思うほど。