朝、いつもの時間。

わたしは由良くんの家の玄関のチャイムを鳴らした。


ガチャリと音を立てて開いたドアから、由良くんが少し眠そうな顔をして出てきた。




「……おはよう、由良くん」

「……ん」




ぶっきらぼうに返事をして、いつものようにわたしの前を歩く由良くん。


そう。
いつもと変わらない。

いたっていつも通り。


マンションを出て、駅への道を歩いて行く。


わたしは、制服の上からそっと鎖骨の下あたりを指でなぞった。



由良くんに突然付けられたキスマークは、もうすっかり無くなった。

お風呂の鏡で見るたびに、その時のことを思い出してしまうから、わたし的には良かった。