*** 「結佳ちゃん」 聞き覚えのある声に、わたしは廊下を歩いていた足を止めた。 声のした方を向くと、ニコニコと笑う史哉先輩がいた。 「よかったー、まだ帰ってなくて」 「……あの、すみません。さっきメッセージ送った通り、カラオケは行けません」 ギュッと、日誌を胸の前で抱える。 史哉先輩のお誘いは、結局断った。 先輩からの返信はなかったから、諦めたのかと思っていたんだけど。 足元から頭のてっぺんまで、改めて目の前にいる史哉先輩を見る。 ……どうしてこの人、まだ学校にいるんだろう。