大和撫子物語

ペコリと頭を下げ、男子生徒は校舎の中へと入っていく。その後ろ姿はとても凛々しい。

エレナは胸が高鳴って止まなかった。今まで自分に声をかけてくる男性は、いつだって鼻の下を伸ばして、ヘラヘラしていて、下心が丸見えだったのだ。しかし、彼は違う。本気で自分を心配してくれたのだ。そんな人に出会ったのは、エレナは生まれて初めてだった。

「……何なの、この気持ち……」

野球をしていた男子生徒がエレナに声をかけるが、エレナはそれを無視してふわふわとした気持ちで中庭に向かう。

中庭では、蛍と結衣がお弁当を食べている最中だった。

「やっと来たーーーってどうしたの?」

結衣がエレナを見て、驚く。蛍も卵焼きをポロッと落としてしまった。

「何か変?」

「変って頰が赤いし、熱でもあるんじゃない!?」

蛍がエレナのおでこに触れる。そして、「う〜ん……。熱はないね」と呟いた。

「私、今すごくドキドキしてるの」

エレナはさっきの出来事を二人に話した。すると、二人の表情は「なるほど、恋か!!」と輝く。