「あぁ!?ふざけてんじゃねえよ!」

怒って今にもエレナに掴みかかりそうな女子に、エレナは軽蔑の目を向ける。

「さっき言ったのは、「あなたたちがかわいそう」という意味よ。人のことを馬鹿にすることしかできないなんて、本当に哀れな人たちね」

エレナはそう言い、茶道部の部室へと入っていった。



その日も、エレナの大和撫子になるための訓練は行われる。今日は、家庭科室で結衣から華道を教わっていた。

華道には様々な流派があり、儀式や技法は各流派によって異なると結衣が言っていた。

「私もやっていい?」

蛍がテーブルに置かれた花々を見て、目を輝かせる。そこで三人でそれぞれ作品を作ってみることになった。

テーブルの上に置かれた花をエレナはじっくり選び、作品を作っていく。

数十分後、三人はそれぞれ作品を完成させた。出来上がった作品をそれぞれ観察する。

「結衣のはシンプルだけど、とても繊細で美しいわね……」

エレナは自分の作った作品と比べ、恥ずかしくなってくる。こんな作品では、大和撫子になれたとは言えない。