身支度を済ましたお嬢様と共に客間の前へ行くと、旦那様の朗らかな笑い声がした。

「お父様、フローラです」

旦那様は大きく咳払いをし、いつもの調子の声で言う。

「入りなさい」

僕がエスコートするように扉を引くと、そこには見知らぬ青年がいた。

「ここへおいでフローラ」

旦那様がフローラを座らせたのは、その青年の正面の席だった。