「どうして?迫田くんだったら簡単に堕ちそうだけどね!高柳さん広報に来てどうだったの?人事交流の直前にばったり会って話したんだけど、なんだか元気がなかったのよね」

教事1課でもヤル気はなさそうな感じだったもんね。

「あ、いや、上村課長がさ……」

「えー!ちょっと意外じゃない?ねえ……」

「そうね…………」

…………みんなの声が遠くなっていく。
頭がボーっとして、ゆらゆらゆらと揺られている様な感覚。

「あれ、蘭さん、おーい大丈夫?」

「へ、なーに?らいじょーぶ……」

えっと、なんか大事な話を聞いたようだったけど何だったっけ。
佐伯主任の話だったよね。
酔ってしまったみたいだけど、私たちの秘密を暴露したりなんかしてないよね。
あ、それじゃまるで主任の本音スイッチじゃないのぉ。
私はだいじょーぶ……。


「あーあ、蘭さんこのまま寝ちゃいそうだよ。どうする?」

「人事交流終わってホッとしてるんだよ。ちょっとの間、寝かしといてあげたら?あとで起こしてあげれば大丈夫だよ」

あ、寝てていいの?
じゃーお言葉に甘えてちょっとだけ。
もう瞼も勝手に閉じてきてるし……。
あーもうダメ…………。












…………はぁ。
どうしてまたあの"資料室"に行かなきゃいけないんだろう。
でも今日は1人だし、密会なんて疑われる事もないか。
目的の資料はすぐに見つかったから、さっさと引き上げよう。

……何か聞こえたような気がしたけど。
奥の方で物音が……。
棚から何かの資料が落ちてしまったのかも?
気になって物音がした方へ近づいていく。

「…………んんっ、あっ」

微かにさっきの音とは明らかに違う、人の声。
うめき声?違うな……。
どっちかって言うと……喘ぎ声、みたいな。
……………ええっ?

「あっああ………いやぁ………」