──19:00

駅近の居酒屋で打ち上げという名の"同期会"がスタートした。

「はい、じゃあ人事交流も今日で終了ということで……。お疲れさま、乾杯!」

と、高らかに乾杯の音頭を取ったのは、何故か分からないけどこの場に当たり前のようにいる、迫田さん。

それぞれにグラスを合わせ、「かんぱーい!!」と盛り上がる。

「あの、朝川さん。迫田さんが来るなんて私一言も聞いてな……」

「せっかくだからもっと同期のメンバーを誘おうとしたんだけど、他の部署でも人事交流の打ち上げで飲み会が多くて集まらなかったのよ。迫田くんしか捕まらなくてごめんね!」

「おいおいおい……ひでーな2人とも!」

どうしよう主任にあとでちゃんと説明しておかなきゃ……。
女同士だって思ってるから迫田さんがいるって知ったらなんて言われるか。

「迫田さん、高柳さんのお疲れさま会はしなくて良かったんですか?」

「高柳さんが今日は都合が悪いって。俺が思うにはアレは……男関係だな」

男関係って……?
まさか佐伯主任は関係ないよね。

「高柳さんはまた教事1課に戻るんだもんね。ねぇ迫田くん、高柳さんと佐伯主任って元サヤなの?どうなの?」

「え?佐伯先輩はだって……」

チラッと私に視線を寄越す迫田さん。
やめてよ見ないで、そのタイミングで。
私は気付いていないふりでビールに口を付ける。

「まあいいわ。迫田くん!あんたはどうなの?彼女できないようだけどちっとも」

「う、うるさいな!俺はいま彼女作るより仕事が大事なんだよ!!」

「またまた強がっちゃって~」

池田さんと朝川さんが迫田さんをからかってる。
私は無関係とばかりに料理に集中してパクついてる。
美味しい。

「蘭さん!迫田くんなんてどう?同期だから気を遣わなくて済むし、仕事はそこそこ真面目じゃない?色白なのがちょっと頼りなさげだけど」