私の情報が惑わせてしまったんだ……。

「ごめんなさい、迷惑かけてしまって。あともう一つ、気になる事を言われたの。私とイチにぃ、そして、小久保課長と高柳さん。それぞれの関係が似てるって。私よく意味が分からなくて……」

「まひろ、お前知ってるんだな。小久保と高柳の関係。誰から聞いた?翔が話したのか?」

「俺はその事については話してない。俺じゃないとすると……」

「私、高柳さんから直接聞かされたんです。『拓実さんとは切れた事がない』って」

不倫関係はまだ続いているのだろうか。

「関係が似てるっていうのは、俺が菜津美と結婚しようとしているのに、まひろとの関係を切れないでいる……とでも思っているんだろう」

ちょっと待って!
私たちそういう関係じゃないのに!!

「でもイチにぃ、私を連れ出してくれた時にはっきり言ったよね。私と親類関係だって。それで誤解は解けたのかな」

「さあ、どうだかな。でも誤解してるんだったらさせておいたほうが、こっちにとっても好都合かもしれない。もし噂になったとしても、あくまで噂だし真実ではないからどうにでもなる。翔とまひろの関係がバレたらそっちの方が厄介だ」

やっぱりそうだよね。
部署が変わったからって……。

「やっぱり俺たちの関係って隠さないとまずいですか?」

主任……。
それ、私が聞きたくても聞けなかった事だよ。

「まずいだろうな。あの男は俺とまひろの関係を疑いながら、お前とまひろのことも探りを入れてると思う。今の段階でカミングアウトするのは危険だ」

私、まだもう暫くは営業1課での勤務なんだよね。
気が重い……。

「そうだな、公けに出来るのはお前らが結婚する時だろうな」

け………結婚!?
チラッと主任を見ると、主任も私の方を見ていて慌てて目を逸らした。
どうリアクションしたらいいのか分からない。
だって、主任の未来計画に私は……。

「……まひろ、あの話はどうなってる?」

「あの話って?」

『何で分からないんだ』とでも言いたげな、呆れ気味な視線を寄越しながら呟く主任。

「ほら、この前言っただろ。俺からだけじゃなく両親から直接話を聞いた方がいいって。蘭先生の方にも話は通ってるんだろ?」