プルルルルル

翔とまひろの様子が気になって、資料室に向かおうとしてたときのこと。
携帯が鳴り出した。

「……もしもし」

『あ、宮本課長!良かった繋がって』

この声は、迫田か。

「めずらしいな迫田。どうしたんだ。俺今忙しいんだけど」

『蘭さん今日ノーザンなのに荷物置いたままなんですよ。戻ってくる気配ないし。もう俺も帰りたいんすけど…』

「まひろの携帯にはかけたのか?」

『まひろ……?宮本課長まさかあの怪文書、本当だったんじゃ』

「あのな、アレに書いてあったのはほとんど嘘だけど、親類ってことだけは真実だよ。で、蘭さんの携帯は?」

『教えてくれませんよ。佐伯先輩が必要ないだろって。その先輩の携帯は繋がらないしで困ってるんですけど』

翔のヤツ、独占欲強いんだな。
まあでもそのくらいでなきゃ困るか。

「分かった、俺が荷物は引き取りに行くから少しだけ待っててくれ」

翔も帰り支度はまだのようだな。
アイツの鍵で施錠してから行くか。
確かデスクに鍵は入れてあるだろうから。

…………ん?

鍵は直ぐに見付かったが、同時に目に入ったもの。
この見覚えのある小さい箱はどう考えたって……。

こんなところに入れてるなんて。
そうか、とうとう決行するんだな。
箱はそのままに、鍵だけ出してデスクの引き出しを丁寧に閉めた。