──7月31日。

月曜日という1週間の始まりの日に、緊急事態勃発。

「おはようございます、上村課長」

「おはよう蘭さん……。ちょっとミーティングルームにいいかしら」

朝イチから課長に呼び出された。
どうしたんだろう?
ミーティングルームで見せられたのは、ある1枚の紙。
そこには1枚の写真と、週刊誌の記事のような文章が書かれてあった。

『教事1課長、宮本一弥と 広報部販促課、蘭まひろ。白昼堂々の密会現場!実はこの2人、親類関係であるだけでなく、宮本課長が結婚する前からただならぬ関係である……』

これはいわゆる"怪文書"というやつ?
写真は私とイチにぃが向かい合って話している場面を撮られたもの。

「蘭さん。この怪文書はシャイニングの各部署にばら撒かれてるみたいなの。これに書かれてる内容が、でたらめだって私には分かるけど。……信じてしまう人もいるかもしれないわね。この写真はいつ撮られたのか分かる?」

これはきっと、1週間前……。



「蘭さん、元気そうね。相変わらずの無表情だけど、幸せオーラが見えるような気がするのが気に入らないわ」

高柳さん!
どうして、ここに?

「あ、高柳さん待ってたわ。宮本課長からの書類持って来てくれたんでしょ」

なんだ、上村課長に用事があって来たのか。
人事交流で高柳さんが広報に来て以来、上村課長と親しくなったようだけど。
課長も高柳さんのこと気に入ってるようだし、私としては何だか複雑。

「もう一件、宮本課長から頼まれて来たの。蘭さん、あなたに伝言をね」

上村課長への用事が済んだらしい高柳さんがまた私のところに戻ってきた。
あんまり話したくないのに。
イチにぃもこの人に伝言頼むなんて、どうかしてる。
……なんて考えてる事は仮面の下に隠す。
そんな私に一枚のカードを手渡してきた彼女。

「宮本課長が昼休みにここで待ってるそうよ。会社の近くらしいからなるべく早くですって。そして分かってるでしょうけど、この事は他言無用に。それじゃ、確かに伝えたわよ」


イチにぃ、何を考えてるんだろう?
メールしようかと思ったけど、仕事中だし時間も無かった。