「何処にって……本宮総合病院だけど」

………本宮総合病院って!
そっか、佐伯家もS・Factoryも邦都市だった。
麗花さん、本宮先生と幸せに暮らしているのかな。

「あ、もしかして叔父さんのところか。今から?」

「そうよ。まずはサチさんのお父さんに許しをもらわないと。私からきちんと話してサチさんをお嫁さんにくださいってお願いしなきゃ」

サチさんのお父さんって入院しているんだ。
でも、病院でそんな大事な話ができるのかな?

「わー!ちょっと待てよ母さん!!それをお願いするのは俺だろ?母さんは黙って……」

「いいえ!祥平はここぞって時の度胸が足りないのよ。任せておけないわ……。これは祥平だけの問題じゃないのよ、S・Factoryの未来がかかってるんだから!いいわね?気合入れて行くわよ、祥平」

本当に今から病院に行くんだ……。
祥平さん頑張って!サチさんとの結婚、認めてもらえますように!!

結局、お母さんとゆっくり話ができなかったな……。

「……まひろさん」

「はっ、はい!」

突然呼び掛けられ、私も慌てて立ち上がった。

「今度は翔真と一緒に佐伯の家にいらっしゃい。そこでまたゆっくり話しましょう。翔真も祥平も結婚するとなると、いろいろと忙しくなりそうだわ」

私のことあまりよく思われていないんだろうと感じていたけど。
お母さんも何か吹っ切れたように明るい笑顔を見せてくれた。

「はい……。私もお母さんとゆっくりお話したいです」

最後には穏やかな雰囲気の中、会合が終了した。

「文子さんは翔真との縁が切れるのが怖くて真実を打ち明けられなかったんだな。離れてはいても心が繋がっていれば家族でいられるんだと俺は思う。そうじゃないか?翔真」

龍崎さんも真実を知りながら、黙って見守ってくれていたんだろう。

「真実を知ったから離れるなんてそんなことはない。むしろ知ったからこそ、これからは本当の意味での家族として付き合える気がするよ。貴浩兄さんとも、な」