──7月22日。

蘭家と宮本家の会合から1週間。
今日はまた会合が開かれると言うのだけど、詳しい話はまだ聞いていない。
佐伯主任は近いうちに私を実家に連れて行ってくれるって言っていたけど、今日は実家には行かないらしい。

謎の会合の開催場所は、主任の自宅。
今日のメンバーは、主任のお母さんと弟の祥平さん、龍崎貴浩さん、吉田のお父さん、主任、そして私……。

この前の日曜日、私はイベントの手伝いのため休日出勤していたので主任と会うことはできなかった。
その日、主任は実家に帰って来たと言っていたけど、実家には私を連れて行ってくれるんじゃなかった?
急な事情だったのかもしれないけど、なにも私が都合悪い日にわざわざ予定入れなくてもいいんじゃないかって思ってしまった。

それとも私が居たら都合が悪かったとか?
だけど、それだったら実家に帰った事も私には隠すはずだよね。
私にちゃんと話してくれたって事は、やましい事なんてあるわけない。
そうだよ、そうに決まってる。
そう自分に言い聞かせている私。

主任の弟さんには会ったことがあるけど、お母さんに会うのは初めてだから緊張する。
主任は私のことをお母さんにどう話してくれているんだろう。
そして今日、どんな風に紹介してくれるんだろう。
主任からはお母さんの話を聞いたこともないから、イメージトレーニングもできなかった。
行き当たりばったりでヘマをしないといいけど。

それにしても今日のメンバー。
RYUZAKI工房の貴浩部長は主任と弟さんの母親違いのお兄さんだと聞いたけど、どうして?
S・Factoryと関わりがあるのかな。
それに、吉田のお父さんまで。

なんだか私が考えている以上に深刻な話し合いになりそうで、気が重い。
主任は私に余計な心配をさせないよう配慮してくれているのか

『今回は人数少ないけど、佐伯家と吉田家の集まりだと思えばいい。俺の目的は母さんにまひろと結婚するって報告と、S・Factoryを継ぐつもりはないって宣言するだけだ』

そうサラッと言っただけ。