「祥平、今日は言えたのか?サチさんとのこと。まさかそのせいで文子さんヘソ曲げたんじゃないか?」

「人聞き悪いな、貴浩兄さん。母さんがヘソ曲げたのは翔真兄さんのせいだよ」

俺のせいかよ。
まあ、そうなるんだろうけど。

「翔真、文子さんとはどのくらい話したんだ」

どのくらいって言われてもな。
ほとんど話なんて……。

「俺とサッチンに将来のことを考えろだの付き合えだの言うから、結婚相手は自分で決めるって言ってやった。それだけだ」

「サッチンはやめろって!!」
「サッチンか!そりゃいいや」

おい、2人して食いつくとこソコかよ。

「それからついでに"S・Factory"の経営に関わる気はないし、シャイニングを辞めるつもりもないって言ったけど」

今までだってそう言ってきたつもりだし、これからだって気が変わるなんて事はない。

「ふーん、まあ予想通りの展開だな。文子さんの頭痛も織り込み済みだし。それにしてもやっぱり文子さんは、言わないつもりでいるのか……」

言わないつもり?
何の話だ?

「文子さんが退場した以上は、どうにもならないから仕切り直しだな。早い方がいいんだろ?翔真」

「もちろんだ。今日でケリをつけるつもりだったのに最悪だ。次はいつにするんだ、祥平」

「俺も早い方がいい。次の土曜日なら予定入ってないはずだけど」

「翔真も大丈夫か?それなら土曜日に決めるか。俺も大丈夫だ」

いやいや、貴浩兄さんは居なくてもいいんじゃないか?

「……ただし、次の会合はここじゃなくて吉田家で行う。翔真、吉田さんに了解とってくれ。もちろん吉田さんの同席が絶対条件だ。蘭さんもな。翔真、祥平、文子さん、吉田さん、蘭さん、俺。メンバーは以上で。祥平、サッチンは今回は遠慮してもらうけどいいな?」

「貴浩兄さんまで『サッチン』て!」

どういうことだ?
なんで吉田の父まで同席の必要があるのか。
なにかあるんだな。
『やっぱり言ってないのか』とか言ってたから気にはなっている。
重要な会合になりそうだな。
次こそは母さんとまひろを会わせられそうだし。

次だな……決戦は。