「私や道子も相談を受けたりしていたんだけど、佐伯くんともいろいろ話をしていたらしいから。これまでのことや、これからのこともな」

それは私も聞いている。
佐伯主任が私と両親の間に入ってくれたから、今こうして皆が集まって過ごせるんだと思うと感謝の気持ちで胸がいっぱいになる。

「私、今まで強がって人に頼らず自立しようと背伸びしすぎてたのかも。佐伯主任はそんな私に"ひとりで抱え込まなくていい"って言ってくれたんだ。伯父さんは佐伯主任と私のことは知ってるの?」

「ああ、もちろん聞いてるよ。佐伯くん、まひろちゃんと結婚したいって挨拶したんだろ?おめでとう。もう広美と真行のことは心配要らないから、あとは君たちの番だな」

「あ、ありがとう。まだまだ先になると思うけど。まだ全然実感も湧かないし」

だってまだ、私は佐伯家の実家にも行ったことがない。
主任は、お母さんや弟さんとも歩み寄る努力をすると約束してくれたけど。

「そうか、でも焦らなくていいんじゃないか?事が動き出したら結構早いもんだよ。なるようになるんだから。でも、佐伯くんとしてはノンビリしてられないのかもしれないけどな」

そう言って私の肩をポンポンと叩いた一伯父さんは、道子伯母さんの元に行ってしまった。


「よう、まひろ。聞いたぞ、翔と婚約したんだってな……おめでとさん」

伯父さんと入れ替わりにやって来たのは、シュウにぃ。

「主任から聞いたの?なんだかちょっと恥ずかしいけど、ありがとう」

さっきまでシュウにぃと話していた主任は、新と信に捕まっていた。
私が知らないうちにすっかり仲良くなっていた3人は、私から見ても本当の兄弟みたいだ。
お互い遠慮なく言いたい事を言い合っているようで、見ている私も心穏やかでいられる。

「お前さ……。翔と付き合って婚約までしてるのに『主任』はないんじゃないか?仕事とプライベートのけじめは大事だろ」

う……。
ど、どうしてシュウにぃにそんなこと言われなきゃいけないの?

「だって、ずっと今まで『佐伯主任』としか呼んだ事がないし。主任だって何も言わないし……」