友達を連れてきてくれて良かった。
もし、まひろ1人だったらいろいろ突っ込まれたりして大変だっただろう。

有田さんもイチにぃの部下たち相手にちゃんと気配りできてるし。こっちの野郎どもも女の子といい感じに楽しんでいるようだし。

まひろは……。
友達と久しぶりに会えて嬉しかったようだけど、心なしか無理してるように見えなくもない。
先に帰した方が良さそうだな。
俺もあとで頃合いをみて出ることにしよう。

「蘭さん、疲れてるように見えるけど大丈夫か?明日仕事だし、早目に休んだ方がよさそうだけど」

「ありがとうございます主任。そうですね、ちょっとだけ疲れが出ちゃったかもしれません……」

さっきメールで途中で抜けること伝えてあるし、きっと1人で先に帰ったりしないよな。
俺が送っていくから、ちゃんと。

「本当だ、蘭さん顔色がさっきより冴えないかも。さっすが主任!一年間コンビを組んでいただけあって蘭さんのことよく把握してますね!!あ……だったら主任が蘭さんを送っていってあげたら?」

「そうですよ、それがいい!蘭さん、主任に送って行ってもらいなよ!いいですよね、主任?」

お前ら……。
一体何を考えてる?

「私からもお願いしていいですか?まひろ、今日はありがとう。また今度うちに遊びに来てね。一弥さんも待ってるから」

まひろが困ったような目線を俺に向けて、おずおずと訊ねてきた。

「あの、主任……。ご迷惑じゃ……」

「迷惑?まさか。有田さんにまでお願いされたんじゃ、断る訳にいかないだろ。それじゃ有田さん、お先に失礼します。蘭さん、行こう」

「は、はい。みなさん、お先に失礼します。菜津美またね……」




「あの……主任。どうして主任に私を送らせるなんてことになったんでしょう?」

それはこっちが聞きたいくらいだ。

「さあな。俺たちが元コンビだからか?あっちから振ってくれて助かったけどな。さ、帰るぞ」

まひろの右手には、有田さんから受け継がれたブーケ。
次は俺とまひろの番。
俺はまひろを幸せにする、必ず……。